2022.04.27

お客様目線を大切にし、大谷焼へと落とし込む

「OTANIYAKI tamura 1784 田村商事株式会社」  大谷焼 元山窯 十代目 代表取締役社長/田村 栄一郎 さん

製造 コラボレーション認知度向上雇用の確保販路拡大

 

 

江戸時代後期から始まった陶(磁)器で、その歴史は240 年以上と言われている徳島県の伝統工芸品「大谷焼」。ざらつきのある素朴な風合いとかすかな光沢を放つ質感が陶芸ファンを魅了し生活の道具としても多くの人々に親しまれている、県を代表する逸品です。

 

大谷焼の産地である鳴門市大麻(おおあさ)町には6 つの窯元があり、そのなかでも「大谷焼 元山窯 田村商事株式会社」さんは幕末時代の山の斜面を利用した登り窯(国指定有形文化財)が現存している唯一の窯元。「天明4 年(1784 年)の創業時から地元の方々に支えられ、応援していただいているお陰で受け継いでこられたと思っています」と十代目当主の田村栄一郎さん(42)。

 

 

 

展示と販売をおこなっている「大谷焼・田村陶芸展示館」に一歩入ると、伝統的な大谷焼はもちろん、ターコイズブルーやバブル模様といった“おしゃれ” な陶器が目に飛び込んできます。「大谷焼=茶色」という固定概念はすでに過去のものになりつつあるのかもしれません。形もモダンで和洋問わずどの食事の場面でも映えそうです。

 

伝統的な大谷焼の技法は守りつつ、一方で新たな素材・技術を使った商品づくりを常に意識しているという田村さん。手仕事にこだわり、暮らしに寄り添うような器づくりがモットーで、近年ではフルオーダーでの食器制作にも力を入れているのだとか。

 

 

「若いときに東京の料理店で大谷焼を使ってもらえるよう何軒か回らせていただいたのですが、そろって『素朴で温かみがあるのは良いけど、これでは使えない』と一蹴。その時は悔しいというよりも、これからは自分らしい大谷焼が必要なんだと突き付けられたような気がしました。伝統工芸に甘えたままだとこの先生き残れないという危機感を感じましたね」

 

最初に制作出品した県美術展で最高賞を受賞し、大谷焼の若手作家としても自信を持ち始めていた頃の出来事。この時から時代やお客様のニーズに大谷焼を落とし込む『田村栄一郎』の陶器づくりが始まったそうです。

 

 

 

お客様とのヒアリングを大切に̶̶。
次第に飲食店からも評価を得ており、今では地元徳島では30 店舗ほどに利用されているほか、東京のミシュラン掲載店を含む和洋様々なジャンルのシェフから愛される陶器となっています。以降活躍の場は広がり、商船三井の豪華客船「にっぽん丸」やJR 四国の観光列車「四国まんなか千年ものがたり」で採用されるほか、人気アニメーション(Fate/staynight[Unlimited Blade Works]× 大谷焼(徳島県))や、アイドルマスターシンデレラガールズ「大谷焼 for 346 PRODUCTION」とのコラボ作品や数々の企業コラボも実現しています。

 

「伝統工芸とはかけ離れた業種の方々とお仕事をさせてもらうと、新たなインスピレーションをいただけるんです。ぜひ、スターバックスさんのご当地マグカップなんかやってみたいですね。鳴門にスタバはありませんけど(笑)」

 

また、大企業とのコラボを望む一方で職人の維持、後継者の育成の問題もあるといいます。

 

「徳島県には工芸大や美大、陶芸の専門学校がないので、焼き物を仕事としてやりたいという方が少ないのが現状です。全国の有名な産地(石川・京都・岐阜・愛知・佐賀など)の近辺にはそれらの学校があるんですね。そこから今まで10 名ほど紹介してもらい働いてもらったのですが、2~3 年弊社で修行した後に都会や産地に帰郷し独立する傾向があります。大谷焼の魅力をもとあげながら、後継者の育成にも取り組みながら、地元の窯元がもっと増えて欲しいです」

 

 

展示館から徒歩3 分の場所にある陶芸工房でろくろを回しながらそう話してくれた田村さん。

 

もっと色々な人に“大谷焼” や“陶芸” に触れてもらいたい、という同工房ではお手軽に陶芸を体験できる「1 日観光体験コース」というものから、「元山窯6 ヶ月コース」といったカルチャー要素を含んだ教室まで各種用意されています。

 

「皆さんに日常の食卓で使ってもらい、SNS 等でバンバン発信してもらえるような大谷焼にしたいですね。いずれ発信力のある『大谷焼アンバサダー』のような方が現れてくれると嬉しいです。これからも地元の皆さまの誇りとなれる伝統工芸品を目指し日々努力・チャレンジして参りたいと思っています。祖先が240 年以上も前に窯に灯してくれた火を僕が消すわけにはいきませんから」

 

 

課題

・東京等の都市圏での販路拡大を積極的にしたい
・職人数の維持や後継者育成のため、すぐにでも雇入れしたいが、専門学校卒業した人など
 適切な人とのマッチングができない
・SNS での発信方法とアンバサダー的な協力者とのマッチング
・企業とのコラボ案件に積極的に取り組んでいきたいのでマッチングしたい
・このまま職人不足が続けば、やむなく一部機械化も検討している

企業情報

企業名 OTANIYAKI tamura 1784 田村商事株式会社
業種 窯業(大谷焼)
事業内容 大谷焼製作
住所 鳴門市大麻町大谷字中通り3-1
代表者名 代表取締役社長/田村 栄一郎
設立 平成5年3月1日
HP http://otaniyaki.jp/
Facebook https://www.facebook.com/otaniyakitamura1784/
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