2022.04.28

EC 四国3 年連続No.1 の着物専門店

「株式会社 阿波和」 代表取締役/井上 光 さん

卸売・小売 生産性向上販路拡大

 

着物の買取・販売を通じ、日本在来の衣服である「着物」を再構築し「現代カジュアル和装スタイル」を提案・発信している『きもの阿波和(あわわ)』さん。昭和24 年に「井上京染店」として創業し、昨年「株式会社 阿波和」として法人化した70 年以上の歴史をもつ着物専門店です。

「着物」は美しい日本の伝統文化である一方、だんだんと着られる機会が減り、家のタンスに眠っている現状がもったいない――と同社代表取締役・井上光さん(35)は話します。

 

「着物には一着一着に手間暇掛けてつくられた職人の想い、そして着る人や家族にまつわるストーリーが詰まっています。そうした理由もありなかなか手放しにくいというお気持ちがお客様にはあるんです。長く着物販売に携わる者として、売るだけではなく着物の価値や想いというものを次代に受け継ぐお手伝いができればと、買取の方にも誠心誠意対応させていただいております」

 

専門知識を活かした買取額を提示することができ、売却された方の満足度も高いと井上さん。同社では買取専門のサイトを立ち上げており、年間5,000 枚以上という買取実績が顧客満足度の高さを裏付けています。買い取った着物の検品から管理、ケアやクリーニングといった作業は想像以上に手間がかかるそう。

 

 

「買取させていただいてから、次にどう販売し次世代に受け継いでいってもらえるか。着物の価値や美しさを維持することはもちろんですが、「着たい」と思ってもらわなければなりません。そのためには時代時代の流行やニーズを読み取り、お客様に提案する力が重要になってきます。また、着物だけではなく全体的なコーディネートを提案し、お客様と『世界観』を共有する必要もありますよね。そのためには着物そのものに加え『着物小物』がとても重要なアイテムになってくるんです」

 

着物小物には足袋や肌襦袢、帯板、補正パッドといった「着付け小物」と、帯締めや帯留め、草履やバッグといった「装飾小物」があり、どちらも着物を着るために必要なアイテム。定番商品はサイズや色などを幅広く取り添えており、県の伝統工芸でもある「阿波しじら織」を用いた和装小物を取り扱うなど、利便性と地域色をうまく取り入れています。

 

 

同社ではこれらを主にネット通販(EC)で販売しており、「Yahoo! ショッピング レディースファッション部門」では3 年連続で四国1 位に輝くなど、売り上げも2 年連続で年商3億円を超えたのだとか。Yahoo! のほかにも楽天、Amazon でEC サイトを展開しており、販売チャネル戦略にも力を入れています。

 

近年はEC 事業に特化している同社。バックヤードには、小物や着物の在庫が所狭しと並べられています。ひとつひとつが綺麗に管理されているため雑多感はありませんが、受注~発送に際し、全ての商品を把握するにはスタッフにも相当な知識やスキルが求められそうです。

 

 

「和装小物でいえば約1 万点近くの商品を取り扱い、『和装品のことに困ったら阿波和さん』と言ってもらえるようになりました。ネット販売では在庫とスピードが命。今より多くのお客様に速くお届けするためには現状のロジスティクス物流に頼るだけでなく、自社出荷で大量に発送できる巨大な物流倉庫が必要となってきます。現状ではまだまだ販売数を抑えながら運営しており、これでも全ての需要に応えられているわけではないんです。在庫・生産を最適化し、業務を効率化することでスタッフの負担を軽減し、かつ物流コストを削減するのが今後の課題ですね。和裁技術者の高齢化といった業界全体の問題にもメスを入れていかなければなりません。また、現状ではBtoC の販路がほとんどですが、これからは半メーカーのような感じでBtoB 販路も増やしていきたいです」

 

現代に受け入れられる和装を目指し、最近では着物系YouTuber で人気の「着付け講師すなお」さんとのコラボ商品「フィールドセンサーカラー長襦袢」を共同開発し、業界やメディアでも話題となった同社。将来的には“着物をメインとしたまちづくり” 事業も視野に入れていると井上さんは言います。

 

 

「自社の関連会社をまちの一画に集めた『阿波和ランド』構想を温めています。たとえば気軽に着物をレンタルでき、和装で美術館に行ったり、ご飯を食べたり、観光スポットで写真撮影を楽しんだり……何だか良いと思いません(笑)? 鳴門を楽しむひとつのツールとして、着物がもっとまちに溶け込めるような場所づくりを考えています」

 

「着物は着るだけで嬉しくなるし、心が弾んできます。特別な場所や機会に着るだけでなく、老若男女がカジュアルに着物を楽しんでいただけるよう、ライフスタイルからも提案していきたいですね」

 

課題

・自社出荷を拡大させるために多品目の在庫を管理できる巨大な物流倉庫が必要
・半メーカーとして特に関東圏でBtoB の販路を拡大したい

企業情報

企業名 株式会社阿波和
業種 呉服小売業
事業内容 呉服買取・小売り
住所 鳴門市撫養町南浜字東浜339
代表者名 代表取締役/井上 光
設立 令和3年12月22日
HP https://www.kimonoawawa.jp/
Twitter https://twitter.com/kimono_awawa
Instagram https://instagram.com/kimono_awawa/
電話番号 088-686-3578
E-mail kimono_awawa@nifty.com