官公庁から大手ブランドまで 創業50 年を超える衣料品製造老舗の挑戦
株式会社マヤ 取締役 / 中神 智宏さん
「同じように見えても実はポケットの位置や素材など、地方によって仕様が違うんですよ」と笑みを浮かべながら話してくれたのは『株式会社マヤ』代表取締役の中神智宏さん(44)。
1977 年の法人化以降、46 年に渡り官公庁向けの制服や医療用白衣といった稀有な繊維製品を手掛けている会社です。創業時は体操服やジャージといった学販向けの製品を作製していた同社。ふとしたきっかけで元自衛隊員だった当時の社長に自衛隊関連の製品依頼があり、徐々に現在の形へとシフトチェンジしました。
「生産数は月2,000~3,000 点ほど。そのうち6 割が官公庁向けの制服、3 割が医療用白衣で残りが民間向け製品といった具合です。一口に官公庁向け製品といっても、シャツ・制服・帽子・スカートなど様々。その中でも弊社は防寒服やベストといったアウター製品を得意として取り扱っています」。
官公庁向けの制服と聞くと、どれも同じデザインで大量生産可能なイメージですが、実は用途や装備品、使われるシーンが異なるため各都道府県ごとに仕様や色味が詳細に分かれています。確かに自然環境一つとっても寒暖差や降雨量など全国各地で異なるため、仕様が違うのも納得です。
「大切なことは適切な仕様を満たし、確かな品質のものを作りながら金額を抑えるということです。安いからクオリティを下げても仕方ない…ではこの仕事は続けられません。加えて“信頼” が重要なキーワードになってきます。これは、ただ永く続いている会社だからというだけで得られるものではありません。安定して確実に製品をお届けすること、質問や疑問、相談があった時いかにフットワーク軽くプロとして誠実に対応し続けられるかが求められます。今でも継続してお取引いただいているのは日々積み重ねている製品の質とサポート体制の充実が決め手になっているのかなと」。
そんな官公庁向け防寒服などのスペックリーダーとして揺るぎない信頼を行政・自治体から得ているマヤ。毎月機関や各庁に赴く以外にも、繊維屋さんや布屋さんといった各業界から製品だけでなく情報も仕入れることで提案力アップのためのアンテナを常に張っています。決して今の製品に満足せず、さらなる質の向上を目指すこの“常に挑戦する” 心構えと“提案力” こそ弊社が生き残る命綱と中神さんの言葉にも熱がこもります。
「ありがたいことに、コロナ禍でも生産数に大きな変動はありませんでした。ただ現状にあぐらをかくつもりはないし、そんな余裕もない(笑)。常によりエンドユーザー様が使いやすい製品って?と考えなくては会社としての成長もありません。例えば医療用白衣にIC チップを入れているのも情報交換の末に採用されました。やはり現地の生の声には真の課題が眠っているなと。エンドユーザー様および商社様からのご意見など持ち帰った情報を社内で共有し、試作を試着をしていただいてまた意見を交わす。こうした“お客様と一緒に製品を作り上げていく” 姿勢は今後も最優先で大切にするべきと自任しています」。
確かな品質を維持しつつ、マヤの企業理念でもある「常に挑戦する」を象徴するようなクライアントと一緒になって考える製品のさらなる向上。マヤの強みである“提案力” を活かして今後は培った技術を他製品へ横展していきたいと中神さんには大きなビジョンが。
「被服改正のタイミングで提案した案を一つでも多く反映していただくためにも、意見交換の回数を増やしていきたいすね。最近では吸水・速乾などの材質や色合いも今の流行りを取り入れていかなくてはと思っています。そしてこれまで重ねてきた意見交換によって培ってきた技術を他の一般医療や官公庁、医療製品に活かせないかなと模索しています。簡単でないことは分かっていますが、安定望めば進歩なし。常に挑戦するチャレンジャーの気持ち大切にしながらこれからも邁進していきます」。
課題
・若い人材の不足
企業情報
企業名 | 株式会社マヤ |
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業種 | 繊維工業 |
事業内容 | 官公庁向け制服、医療 機関向け白衣及び作業服、羽毛製品 などの製造 |
住所 | 大津町矢倉字五ノ越55-2 |
代表者名 | 中神 智宏 |
設立 | 1977 年 |
HP | http://www.maya-inc.jp/ |
電話番号 | 088-685-2130 |
info@maya-inc.jp |