ディープな日本を味わえるゲストハウス
うずまき庵 代表取締役 / 宮崎亜紀子
鳴門市の東北部に位置する鳴門町土佐泊。漁師町として賑わいを見せていた土佐泊はかつて土佐(高知)と京都を行き来する船が寄港していたことが名前の由来と言われています。今では小鳴門海峡に生息している様々な魚たちを求めて釣り人たちも集まる大変人気な町です。
そんな漁師町の風情が残る土佐泊にゲストハウス『うずまき庵』が2023 年新しくオープンしました。代表を務める宮崎亜紀子さん(49)は大学時代にもっと大きな世界を見たいという一念で故郷を飛び出し、中国へ留学を経験。以降、縁あって中国の企業に就職し、製造業やコンサル業など22 年という長い時間幅広い事業に携わってきました。宮崎さんは当時を思い返し、「短期留学のはずが、まさかそのまま仕事の拠点になるとは」と目を細めます。
現在は中国・深センに本社を置く『IDEA TOUCH』の日本支社代表として主に中国やアジア圏を対象としたBtoB の視察旅行を中心にインバウンド旅行業を展開しています。
「ちょうど高度成長期のタイミングで33 歳で起業をし、そこから多くのかけがえのない仲間とも出会い充実した日々を送っていましたが、40 歳を過ぎた頃から無性に故郷の青い空と美しい自然が恋しくなっている自分がいました。日本を拠点とした仕事にシフトチェンジしていくため旅行会社に転職したのが43 歳の頃。大阪に支社を作ったのがその1 年後でした」。
ところが、日本への観光とビジネスツアーがブームの中、業績が右肩上がりに成長していく最中に突然のコロナ。まさかのパンデミックに呆然自若となった宮崎さんに新たなきっかけを与えてくれたのが、鳴門の土佐泊だったと話します。コロナ以前にも徳島へのトライアルツアーを10 組ほど実施しており、渦潮や阿波おどり会館などは熟知していたものの、こんな近くに昭和の面影を色濃く残した美しい場所が存在することを全く知らなかったと驚いたそうです。
「これこそ外国人が思い描く日本の原風景なんだと。ここを拠点にアフターコロナに向けて、再びお客さんが戻るようになった暁にはこれまでと全く異なる視点で、ビジネスツアーや海外交流を企画できると確信しました。今思えば、土佐泊との出会いは私にとって運命でした」。
うずまき庵の魅力は徳島・鳴門の郷土料理が食べられること。腕利きのスタッフが作る絶品の郷土料理は初めて食べたのにどこか懐かしい味わい。ほっと温まる料理と家族団らんを思わせる情景は不思議と心が落ち着いてきます。この日のメニューは、香ばしく焼いた表面に味噌を塗った祖谷豆腐とゆずの香りがアクセントの蓮根餅の椀物。もちろん食材の持ち込みは可能で、視察旅行などデモツアーに参加した方の中には小鳴門海峡で釣った魚を持ち込んで料理される方もいたそうです。そのほか、うずまき庵の周りには観光スポットが数多く点在。アクセスの良さも魅力の一つです。車で30 分圏内に世界26 カ国の西洋名画を陶板で展示している大塚国際美術館や渦潮観潮船などがあり、気軽に徳島の観光スポットを巡ることができます。
「鳴門って四国の玄関口でもありますし、渦潮や藍染め、大谷焼きと徳島を代表する観光資源のほとんどが密集しているなと。なのに夏の阿波おどりの時くらいしか観光客が長期滞在してくれない。
食という観点から見ても鳴門わかめや鳴門金時、蓮根などのブランド食材も数多くあるので、うずまき庵発信でその味・魅力・歴史・文化を知ってもらいたいです。
すでにアフターコロナを見据える宮崎さん。新ニーズとして、爆買いや集団旅行のような表面上の消費に留まらない、より深い体験と交流、郷土料理に舌鼓を打ちつつ酒を飲み交わしながら率直な意見交換をする。その中で土地の文化を知る。この「ディープジャパン」を提供することに価値があると話します。
「中国の古い諺に『先做朋友后做生意』(親しくなってから商売をすればうまくいく)というのがあります。無愛想だが人懐っこく、商売の勘が鋭く意思決定が早い鳴門の商人たちにも共通しているように感じます。日本と中国お互いがwin-win の関係を作れるようにするのが、私の役割でありうずまき庵が果たす機能だと思います。世界と鳴門の接点としてうずまき庵を国際交流拠点にできるよう頑張っていきたいです」。
企業情報
企業名 | 合同会社渦巻き庵 |
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業種 | 宿泊業 |
事業内容 | ゲストハウス |
住所 | 鳴門町土佐泊浦字土佐泊117 番地 |
代表者名 | 宮崎亜紀子 |
設立 | 2022 年 |
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電話番号 | 090-9450-6961 |
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