地方で急成長する伴走型IT 企業 現場に溶け込む“人間力” がカギ。

 

東京に本社を構え、2 年前に鳴門市撫養町の商店街の一角へサテライトオフィスを開設した『株式会社ヒロカ』。主にシステム開発や情報システムの支援などを行う会社です。宮崎県出身の代表取締役・山口譲司さん（46）は大学在学中に友人と起業。その後バイアウト、独立など紆余曲折を経て、2013 年に同社を創立し現在に至ります。

「ありがたいことに様々な企業様からお問い合わせをいただいています。私自身フットワークが軽いので、フィーリングが合うと感じた方の元へはどこでも出向くようにしています。仕事以外のいろいろな会話もする中で関係を構築した結果、安心して仕事を任せていただけることが多いです。私たちが扱うシステムは目に見えない無形なサービス。目に見える形で自社をアピールするには人間力も武器なのではないかと勝手に思っています（笑）」。

同社のメイン事業はシステム開発や情報システムの支援。ただし、売り切り型でソフトウェアを提供するだけでなく、現場に溶け込み、“一社員” としてその企業が抱えている真の課題を見つけ出し、常駐先から見た理想的なソリューションを提供することに、ヒロカの真価があります。これまで、釣り糸で世界的なシェアを誇る『株式会社ワイ・ジー・ケー（YGK）』やスポーツイベントの計測システム、スマートフォンアプリ開発などを多数手がけており、現在もパートナー企業として支援を続けています。

「数回足を運んでシステムを構築することはできます。ただそれでは、一時的には良くても問題の根源的解決になりません。伴走することで、お客様と向き合って情報をもらうのではなく、同じ方向を向くことで言語化されていない問題を見つけられます。形式ばったヒアリングではなく、普段のたわいないコミュニケーションの中に、本当の課題が隠されていることもあります。単にシステムを構築しているだけだと一部の“解決策” しか提案できないですが、ヒロカは“課題” と“解決策” を提案することで企業全体の成長を支援することができます。そういう意味では、パートナーとして共にお客様の会社を作り上げていく意識を持っています」。

今後、現在の情報システム分野における業務に加え、自社プロダクトの展開も見据えていると話す山口さん。それを絵空事にしないためにも20 代若手の地元採用を積極的に進めながら、社員のスキル向上に心血を注いでいます。教育のできる人材が不足する状況において、最新のオンライン講座を積極的に導入し、基礎力向上を図っています。社会人として一番脂が乗る30 代となった時により高い技術を持ち、会社を引っ張っていくような人材が多数育っているような体制を組んでいます。さらに頻繁に勉強会を開催することで、様々な業界・社外の方々と触れ合う機会を創出。新しい知識と人脈の風を取り込んでおり、それを象徴するのが今年3 月、同ビルに開設したコワーキングスペース「うずコワーク」です。

「4 階建てのテナントのうち、3 階をオフィス、2・4 階をコワーキングスペース「うずコワーク」として開放しています。IT 企業が運営するIT 特化型のコワーキングスペースで、県内ではウチだけです。IT “特化” ということでフリードリンクはもちろん、無料高速Wi-Fi や各種ケーブル・モニター、プロジェクターなどの無料貸し出しもしています。オンライン会議のできる個室もご用意していますし、駐車場もございますので時間に追われることなく、ゆったりとご利用いただけます」と妻の美保さん。

「私自身、学生時代に起業した時などはカフェやファミレスで仕事をすることが多くて。確かに仕事はできるんですけど、電話や会議など声を出すことに制限がありましたから。鳴門にオフィスを構えた時から、コワーキングスペースを作れたらいいなと考えていました。とはいえ、ITという言葉に縛るつもりもないので、資格取得を目指す方や学生さんの試験勉強、撮影した写真を編集したりなど…利用目的はなんだっていいんです。それが本来のコワーキングスペースの在り方だと思いますので」と譲司さんも笑います。

「課題が分からないのが課題、イノベーションを興したいけど何から手を付けたらいいか分からない。そんな企業様のお悩みに対応するのが、ヒロカの持ち味だと自負しています。特に新しい挑戦をしたい企業様にはぜひ一声かけていただければと思います。あとはこのうずコワークを多くの方に使っていただいて、地域の方はもちろん、たくさんの人の出会いが生まれる素敵な場所として一緒に盛り上げていきたいと考えているので、気軽に遊びに来てくれたらなと思います。