2023.04.28

椎茸ギライが感動。“本物の椎茸”は鮮度が命

サンコウファーム株式会社 代表取締役 / 新 公二さん

しいたけ栽培農業林業 人材の確保販路拡大

 

茶碗蒸し、煮ものといった特に出汁を使う料理において旨味と風味を引き立たせる名脇役として、日本食に欠かすことのできない椎茸。徳島県は菌床椎茸(おがくずを固めたブロックに椎茸菌を植え付け、温度・湿度の管理された施設内で栽培される)生産量が日本一。鳴門金時、れんこん、すだちなどと肩を並べる徳島を代表する名産品です。

「もともと私自身が椎茸が苦手で。たまたま知人が椎茸栽培をしていたのでハウスで収穫させてもらい、採れたての椎茸を食べさせてもらいました。もう雷に打たれたような衝撃でした。採れたてってこんなに美味しいんだなと。感動と同時にこの美味しさを多くの人たちにも知ってほしいと思いました」。

大麻町で菌床椎茸の栽培を始めて15 年目を迎えた『サンコウファーム 株式会社』の代表を務める新公二さん(44)は感慨深そうに当時を振り返ります。

 

 

鳴門市内で唯一の椎茸農家であるサンコウファームの椎茸は香りが良く、肉厚できめ細かな歯ごたえに魅了され、全国にファンが多数。

一度食べたら他には戻れなくなると人気で、引き合い先の半分が県外。質の高い椎茸を作り続けるためには生育環境の管理は徹底しています。

 

 

「私たちが暑くなったらエアコンをつけるように、椎茸も生き物ですから理想的な生育環境を整える必要があります。理想は10~20℃なので空調の設定には目を光らせています。菌床ブロック内の水交換や収穫する椎茸の見極めなど常に気を抜けないですね。ごく稀に棚の隅っこの菌床ブロックに生えている椎茸の存在に気付かず、手のひらより大きく成長した椎茸と顔を合わせたこともあります(笑)」。

現在は4 棟のハウスで栽培を行っており、1 棟に9,000 の菌床ブロックが収容されています。菌床ブロックに椎茸菌を培養し、椎茸が生える(以下=発生)まで4 ヶ月、発生は6~7ヶ月続きます。培養の時期をズラすことで一年中、高品質の椎茸を収穫しています。

「手を抜いたらすぐに結果として現れます。例えば収穫ひとつ取っても、タイミングが遅れるほど傘が開いて薄っぺらい椎茸になります。味や香りは同じでも食べた時の食感は雲泥の差。いかに椎茸と真剣に向き合っていくのか。地道な作業を徹底してやっていくことが私たち椎茸農家の生き残る道です」。

 

 

椎茸にとって生命線と言えるのは水分量です。全体の80%が水分である椎茸は、収穫してすぐに食べるのであれば肉厚で噛むほどに椎茸のエキスが泉のように湧き出てくるこの状態がベスト。しかし普段お客様の手元に届くまでには農協や市場、スーパーを介して届くため、あえて水分量を落として棚もち(日持ち)をよくするようにしています。

「理想は水分量70%の椎茸。それより多いと棚持ちが悪くなるし、低いと棚持ちは良くなるけれど、プリプリとした食感は無くなって、パサつきます。棚持ちが良くて、肉厚でしっかりした食感も残っている。その境界線が水分量70%くらいで、そこに合わせられるよう品質管理を徹底しています」。

 

 

理想的な水分量を維持しつつ、抜群の生育環境環境で育った椎茸は軸切りを経て、農協や市場の規格サイズごとに選別します。生育から選別まで一貫しているのは椎茸を我が子のように大切に扱っていること。まるで赤ちゃんの柔肌に触れるように優しく、基本的にすべての工程を手作業で行っています。

「機械で選別することもできます。ただそうすることで、コンベアを転がる過程でどうしても小さな傷ができてしまい、傷みの原因になります。我々の仕事は収穫して終わりではなく、お客さまがお店で買い物カゴに入れ、ご自宅で調理して口に運んだ時に一番美味しい椎茸を提供することなので、このこだわりは譲れません」。

 

 

効率よりも品質を最重要視するサンコウファーム ではより多くの方に椎茸の美味しさを知ってもらおうと収穫体験プランを実施中。新鮮で美味しい椎茸の見分け方からオススメの焼き方・食べ方をレクチャーしてもらえるとあって、県内をはじめ関西や時には外国の方も訪れるそう。

「初めて椎茸を収穫するお客様、今まで栽培キットなどで椎茸を育てたことがあるお客様、どなたでも楽しんで満足していただけると思います。ウチの椎茸はどれも肉厚。塩を振って焼いて食べるのが一番オススメです。シンプルイズベストとはまさにこのことだと思います。忘れてはいけないのが軸。よく下処理の際に捨てられてしまう部位ですが、傘に負けず劣らずの美味しさがあります。加えてコリコリした食感もたまりません。説明しているだけでお腹がすいてきました(笑)」。

 

「徳島県が菌床椎茸の生産数日本一ってあまり知られていないと思うんです。鳴門金時や蓮根は粘土質の土壌など鳴門でしか作れないからブランド化されるわけで。椎茸は産地ごとの違いを出すのが難しい。それも影響していると思っています。県外の方や椎茸嫌いのお客様にももちろん食べていただきたいですが、大麻で椎茸栽培をしているところがあるんだと市内の方にも知っていただけたらと思います。そして全国に徳島ブランドとして名を馳せている食材たちに肩を並べられるように本物の椎茸を見て、収穫して、食べていただければと思います」。

 

 

課題

・若い世代の人材不足
・関西、関東首都圏のセレクトショップなどへの販路拡大

企業情報

企業名 サンコウファーム株式会社
業種 林業(しいたけ栽培農業)
事業内容 椎茸の栽培・販売、収穫体験
住所 鳴門市大麻町川崎448-1
代表者名 新 公二
設立 2008 年
HP http://www.sankoufarm.com
Facebook https://www.facebook.com/sankoufarm.kk/
Instagram https://www.instagram.com/sankoufarm/
電話番号 088-689-4088
E-mail sankoufarm@gmail.com