移住起業で市民の足を救う!チャレンジ続く「地方×チャリ」
株式会社あかたにサイクル 取締役/赤谷 亮一さん
ママチャリ・ミニベロ・折り畳み自転車・クロスバイク・電動自転車…。生活シーンやライフスタイルに合わせて多くの自転車が普及するようになり、人それぞれのニーズに合った商品の提案はもちろん、安心安全を守るため確かな修理技術が求められている昨今、鳴門市で自転車の専門家として販売・修理を一手に担っているのが、鳴門の渦潮の青を彷彿とさせる『CYCLESPACE UZU』です。
「店名のUZU は〈ユージーユー〉と読むのですが、鳴門ということもあり〈うず〉と読まれがち…(笑)。もちろんその意味もありますが、You と自由を組み合わせた造語で“あなたにとって自由な選択肢のある自転車屋さんでありますように” との想いを込めています」。
そう話す代表の赤谷亮一さん(41)は高校卒業後、大手自転車販売会社へ就職。自転車安全整備士の資格を取得する等経験を積んだ後に退職し、両親の実家があった徳島へ移住。2018 年に現在の場所で同店をオープンして以降、困った時の駆け込み寺としてたくさんのお客様が赤谷さんを求めて来店しています。取材時も修理の終わった自転車を受け取りに来る人、スポーク(車輪の中心から外側に広がっている金属製の棒)が外れたと修理に訪れる人など大忙し。
「前の職場では8 店舗ほどを渡り歩きましたが、数年周期で訪れる店舗異動で私から購入していただいたお客様との関係が途切れてしまうのが本当にイヤでした。せっかく自転車を通じてできたご縁を永く繋げていくために自転車のメンテナンスまで自分の手で行いたいなと。しかし大きな組織に属しているとそれが叶わないなと気がついたんです」。
大手自転車会社に勤めたからこそ痛感した販売することの責任。ただ売って終わりではなく、アフターフォローまで徹底することでお客様にとって愛着の湧く一台になってくれたらと赤谷さんは言います。そんな赤谷さんの想いもあり、UZU ではバリエーション豊富な自転車を揃えつつも抱える在庫はそう多くありません。
「初めて自転車を買う時って、どれを選んで良いかわからない方がほとんどだと思うんです。何もわからないまま並んでいる在庫から仕方なく自転車を選んでもらうことはしてほしくないし、させたくない。そのためデザイン・色はもちろん、買い物で使うのか通勤で使うのか、カゴはいるのか、予算はどのくらいなのかと、細部までヒアリングを行い、お客様の体や乗り方にフィットした安心安全な商品をご提案させていただいております。お客様の理想に近い一台をご提供することで、手元に届くまでの期間もワクワクしてもらえますからね」。
また、ギアクランクシステム「FREE POWER(フリーパワー)」を四国初導入しているのもUZUの強みです。フリーパワーはギア内部に設置されたシリコンがペダルを踏み込むことで収縮し、反発する力を推進力に変換して漕ぎ出しをサポートする画期的な商品。まるで後ろから自転車を押してもらっているような感覚を味わえると学生から高齢の方まで幅広い世代から大変人気です。
「電動アシスト自転車と違って、ママチャリやマウンテンバイクといったどんな自転車にも取り付けできるのがフリーパワーの魅力。シリコンの反発を利用しているので電池交換も必要ありません。膝や足首を痛めている方や日々通勤・通学といった長い距離を漕がれる方にもおすすめのギアです。より多くの方にフリーパワーの素晴らしさを知っていただきたい一心で毎月無料体験会を開催しています」。
自転車の販売・修理を主な事業とするUZU ですが、一言で修理といっても対象は店舗を訪れるお客様だけではありません。現在月に1~2 回程度、自転車店のないエリアの公民館等で出張修理を行っています。出張の内容はタイヤの空気補充やチェーンへの油さしといった点検作業から大々的な修理まで多岐に渡ります。
「出張修理は普段店舗ではお会いできないお客様とコミュニケーションを図る絶好の機会。また当店には自転車好きなスタッフが多く在籍しているので、今後は修理に必要な資格を修得できるように育成し、出張回数・場所を増やしていきたいです。私を含めてスタッフ各々が自転車を販売する責任を持ち、お客様との良好な関係性を築いていきたいと思っています」。
その献身的な配慮と確かな技術で多くのお客様の日常を支えている赤谷さんにこれからの展望を尋ねると、「自転車で鳴門を活性化させたい」とその目は店舗の発展だけにおさまらず。
「これまで築き、紡いできた技術やお客様との関係性は維持・拡大していきます。それに加えて自転車を通じて鳴門に観光客を呼べないかなと模索しています。鳴門は「四国隣県への通過点」「二次交通が脆弱」と耳にタコができるくらい聞いてきました。私はそんな声を吹き飛ばす力が自転車にはあると信じ、アフターコロナで戻りつつある観光客向けのレンタサイクルをより拡大しています。サイクリングを楽しむ観光客を見た地元の方々がシンパシーを感じてもらえないかなと。ママチャリで買い物に行くのだって立派なサイクリングですから(笑)。そうやって自転車人口を増やし、鳴門の交通手段として真っ先に自転車が浮かぶようになったら嬉しいですね」。
課題
・宿泊施設との連携(レンタサイクルの普及)
・UZU パーク内、サイクルステーションのさらなる有効活用
・出張修理(スタッフ不足が解消後)
企業情報
企業名 | 株式会社あかたにサイクル |
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業種 | 自転車小売業 |
事業内容 | 自転車の販売・修理 四国唯一「FREE POWER」の取扱い |
住所 | 撫養町斎田字東発36 番地1 |
代表者名 | 赤谷 亮一 |
設立 | 2020 年 |
HP | https://cycle-uzu.com/ |
https://www.instagram.com/ cyclespace.uzu/ | |
電話番号 | 088-679-4639 |
cyclespace.uzu@gmail.com |