全国屈指の合成皮革の老舗が目指す “サスティナブルが創る未来のトレンド”
共和ライフテクノ株式会社 総務人事 G/ 國友仁詞さん
靴・カバン・衣料・家具・インテリアといった暮らしに溶け込む身近な製品に使われる合成皮革や化粧シートなど各種合成樹脂製品の製造・加工を行う『共和ライフテクノ株式会社』。
前身である『南海ゴム株式会社(途中、株式会社ナンカイテクナートを経て)』から数えると創立70 年以上の歴史を持ち、2018 年の経営統合に伴い、現在の社名へと変更した、業界を牽引する老舗企業です。同社が製造する合成皮革のメインとなる素材は塩化ビニル樹脂(PVC)とポリウレタン樹脂(PU)の二種類。「いずれか一方ではなく、どちらの素材にも対応できるのが弊社の強み」と同社・坂田さんは話します。
「塩ビ素材から作られた製品はメンテナンスの容易さや強度があるのが特徴で、家具(椅子の座面など)やカバンに多く使用しています。また、ウレタン素材の製品は塩ビ素材に比べて、より本物の皮に近い仕上がりで風合いもやわらかく、履き物に多く使用しています」。
通常、塩ビ素材を加工する際、シボロール(凹凸やレザーに柄を転写させるための模様のついた鉄製のロール)を使いエンボス加工などを施しますが、共和ライフテクノではこの技術をウレタン素材にも応用。他社に真似できない意匠性でオリジナル製品を開発しています。
「何より塩ビとウレタン素材、それぞれの分野の技術をシェアできる点が唯一無二なのかなと思います。引き合い先の商社様と密にコミュニケーションを取りながら、「どの生地にするか」「タッチはドライかウェットか」など素材の企画提案をしつつ、各メーカー様の要望を聞き出し、最適な製品を提供しています」。
歴史あるメーカーが次に挑戦するのは“サスティナブルが創る未来のトレンド”。循環型エコマテリアルとしての新たな一手として石油由来原料を抑え、植物由来原料バイオマスを配合した新商品「バイオヴィーガンレザー」の開発です。SDGs といった言葉が業界内だけでなく、世間一般のポピュラーな言葉として浸透している現代の流れに、社員から「環境問題に注目した商品づくりをしたい!」との声が多数上がったことや、引き合い先からすでに流通している海外産のバイオ素材を使用した製品を入手したことで本格的な開発が始まったんだとか。
「現在展開しているのは「apLena(アプレナ)」、「BambLena(バンブレナ)」、「SheLena(シェレナ」の三種類です。原料にはリンゴの搾りカスやホッキ貝の殻を使用しています。中でも竹を使った「BambLena(バンブレナ)」は徳島県那賀町の間伐材を利用して作っています。塩ビやウレタンのレザー製品と同じ品質で環境にも良いならと少しづつ問い合わせが増えてきている状況です」。
石油由来原料を抑え、自然由来の原料を配合したバイオヴィーガンレザーは、環境保全の観点からも注目された素材ですが、そのメインストリームは海外製品が占めているのが現状。ここに風穴を開けるべく、地元徳島の素材を使って挑戦を続ける同社。「完成に至るまでに紆余曲折、多くの障壁を乗り越えてきた」と坂田さんは目を細めます。
「基本的にどの素材もパウダー状にして塩ビやウレタンに混ぜ込んでいくわけですが、細かい粒子まで粉砕するのに苦労しました。特に竹は粉砕しても丸い粒子にならず、ささくれのような繊維状になってしまいまして。この状態で使用すると製品の強度に関わってきます。また製品の設計段階からどの部分にどれだけの量を入れるかに悩まされました。例えばウレタン配合に入れるリンゴパウダーの適量がわかっても、塩ビ配合に入れるパウダー量は違います。他にも靴や家具など製品ごとにも異なるため長い月日をかけて研究を重ねましたね」。
顧客の求めるニーズが日々目まぐるしく変わる業界において、「時代の流れにしっかり対応しながら革新的な商品を市場に提供し、エンドユーザーに満足してもらうことが弊社の使命」と語る坂田さん。次の節目である100 年に向けて、徳島県鳴門市から未来へつなぐサスティナビリティな未来が生み出されています。
課題
・自社製品を活かした新たな引き合い先の開拓
企業情報
企業名 | 共和ライフテクノ株式会社 |
---|---|
業種 | 製造業 |
事業内容 | 合成樹脂製品の製造・加工 |
住所 | 里浦町里浦字花面85(本社・鳴門 工場) |
代表者名 | 藤坂 和義 |
設立 | 1950 年 |
HP | https://www.kyowalt.co.jp/ |
電話番号 | 088-686-2155 |