美と健康の源泉を「漢方」に求めて
「㈲日本漢方医薬研究所」代表取締役 片山 智子さん
鳴門市の西北部に位置する北灘町。海と山に囲まれた自然豊かな場所で、「鳴門わかめ」や「すだちぶり」などブランド海産物がある漁師町です。同町を東西に横断する国道11号線は「海沿いを走れる道」として、ドライブやサイクリングコースとしても近年人気の高いスポット。この海鮮料理店や海産物店が点在する国道11号線沿いに、漢方医薬の知識・技術を活かした、漢方薬やオリジナル化粧品を製造・販売する「有限会社 日本漢方医薬研究所」はあります。
昭和40年に前身となる薬局「井上医薬研究所」を井上義夫さんが徳島市内で創業し、昭和49年5月に現在の「有限会社 日本漢方医薬研究所」を設立。平成19年、創業の地から北灘町に会社と工場を移転し今年で15年目を迎えました。
「以前の工場が老朽化したタイミングもあり2年ほど県内を探し回った結果、ここ北灘町に移転することを決めました。決め手?周りに民家がなかったことかな(笑)。医薬品の工場なので、街中だとどうしても敬遠されちゃうんです。今ではご近所さんが採れた野菜を持ってきてくれたりと、すっかりローカルコミュニティの恩恵を受けています」
そう話してくれたのは、片山智子さん(58)。平成26年、父の義夫さんが80歳になったのを機に同社の社長を任されました。
「実は移転のタイミングで製造工場を撤廃し、薬局店のみを細々と続けていく選択肢もあったんです。でも父が独自処方でつくりだした漢方医薬品をここで手放してしまうのはもったいないなと。工場建設の費用はかかりますが、ここは思い切ってチャレンジすることにしました。医薬品を製造する際に定められた品質規格や製造過程、品質管理の基準に則った「医療品製造GMP認証工場」を敷地内に併設し、厚生労働省から承認を受けた漢方医薬品・化粧品をここで製造しています」
同社オリジナルの生薬エキス抽出技術を利用し製造された漢方医薬品「コランエースW」、「ワンダーエース」、「コフロンエース」は肩こりや風邪の初期症状に効果がある――と愛用者の多い人気商品。「ワンダーエース」は小学生でも安心して飲めるため、お世話になっている家庭も多いはず。
また、同社では医薬品製造GMP認証工場で培った技術を活かし、漢方だけでなく、高品質でナチュラルな化粧品も製造。植物から抽出したエキスをスキンケア製品、ボディケア製品、ヘアケア製品など各種オリジナル化粧品に配合しているのだとか。その原料となる植物は、会社の隣にある自社農園「北灘植物園」で栽培されています。
「自社農園、見てみます?少し足下は悪いけど(笑)」と早速隣接する農園を案内してくれました。
一見、素人がみれば農園と言うよりも雑草が茂る休耕畑にしか見えませんが(失礼)、片山さんから見ればここに生えている植物すべてが宝物。「これが“ヒオウギ”という植物で、日本で原料として使ってるのは弊社だけだと思います。あっ、こっちは“ワタヨモギ”。県内ではこことあと一箇所しか自生していない希少なヨモギなんですよ。それと……こっちこっち!ここに植えているのが“ティートゥリー”。この葉っぱからオイルを抽出して化粧品の原料として使います。とても良い香りでしょ。森のハーブと言われているぐらいなんですよ」と片山さん。説明中も縦横無尽に農園を駆け回り、なんだか楽しそう。よく見ればグァバや月桂樹の木もあります。この農園にいると植物の香りと景色で自然と気分が落ち着いてくるから不思議です。
「農園の植物は農薬はもちろん、除草剤も使っていません。肥料も使ってませんけどね(笑)。いつかこの場所にテーブルとイスを出してハーブティーを提供できればと考えています。あと、その人の症状にあった漢方をスパイスとして使い、薬膳カレーとか……ね。この場所でやりたいことはたくさんあるんですよ」
現在は片山さん自身が製造者として機関に登録しているため、店舗での漢方相談や調合して販売することは行っていません。発注元から「こんなものを作れませんか?」と依頼を受け、受託するOEMメーカーとして化粧品などを製造することがほとんどだそうで、医薬品メーカーが手がけるというブランド力、確かな品質の製造力、100本程度の小ロットでも対応する機動力、製品のコアである原料を現地まで行って確認するという安全意識、依頼主と同じ熱量をもって思考を繰り返す行動力が、依頼主から多くの信頼を得ているようです。
いままでにも数々の企業と共同開発し、数々の化粧品や健康食品などを商品化してきた同社。地元の酒造場と開発した「オーガニックハンドクリーム KITANADA」(25g/650円)は、原料に米発酵エキスや鳴門わかめのエキスを使用した100%ピュアなオーガニックアイテム。高い保湿効果に加え、さらりとした使用感と柚子の香りがほのかに香る人気商品です。
「医薬品メーカーとして培ってきた技術を活かし、化粧品や健康食品を小ロットからOEM、ODM受託できることが弊社の強みであり信頼していただけているところ。これからも東洋医学の考えに基づいた化粧品、健康食品の開発にますます力を入れていきたいですね。ただ、生産数を上げるためにも一部製造ラインの機械化や人員の確保が課題。その課題をクリアしつつ、『医食同源』をコンセプトに皆さまの“美と健康”をサポートできるよう、今後もこの自然豊かな土地で研鑽に努めてまいりたいと思います」
課題
・製造で必要となる工程の一部機械化・生産ラインの効率化
・雇用の確保
・OEM・ODM依頼の受注増加
・薬膳カレースパイスの開発・販路の確保
企業情報
企業名 | 有限会社 日本漢方医薬研究所 |
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業種 | 製造業 |
事業内容 | 医薬品・化粧品・健康食品OEM |
住所 | 鳴門市北灘町櫛木字井ノ尻89-7 |
代表者名 | 代表取締役 片山 智子 |
設立 | 昭和49年5月11日 |
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