釣りの聖地「鳴門」を アップデートする新しい風を吹き込む
一般社団法人 TSURIBITO 代表理事 / 高橋 真冬さん
世界三代潮流にも数えられている鳴門の渦潮は、瀬戸内海を代表する観光名所でありながら、その激しい潮の働きによって海面付近に集まったプランクトンを求め、夏にはアジやスズキ、冬にはカサゴやメバルなど四季を通して様々な魚たちが集まってくることから釣りのメッカとして知られています。また骨にこぶができるほどの激流に揉まれた、心地よい弾力と豊かな脂が特徴の「鳴門鯛」が有名です。そんな豊かな漁場が形成されている鳴門をもっと釣りで活性化したい!と東京都から移住して『一般社団法人TSURIBITO』を立ち上げたのが、同団体の代表を務める高橋真冬さん(28・写真右)。
「鳴門へは地域おこし協力隊(以下=協力隊)として来鳴したのがきっかけです。いざ協力隊になったのは良いけれど、なにで地域を盛り上げていこうかと漠然とした不安がありましたが、もともと釣りが好きだったこともあり、これだ!と直感しましたね」。
協力隊に着任し、TSURIBITO 立ち上げ後も力を入れているのが釣り人以外をターゲットにした釣りイベントの開催。これまで徳島県発の旅行商品を提供している地元の旅行会社や大手航空会社と連携し、県外のファミリー層を中心にワーケーションとして受け入れるなどしてきました。
「プロや釣り好きの方にはよく知られている鳴門ですが、一般的にはまだまだ浸透していないのが現状。鳴門は東京や関西圏からのアクセスの良さも魅力の一つなので、気軽に手ぶらで来てもらえるよう釣り竿やリールなどの道具はこちらで用意しています。そしてなんといっても鳴門名物の筏釣り!。四方が山に囲まれていて、波で筏が大きく揺れることが少ないため、子供たちも安全に楽しむことができます。今後はこの筏に加えて海上グランピングとして楽しめるような場所へ進化させていきたいと考えています。せっかくの筏という非日常空間をより快適に過ごしていただくために新たな企画を進めているところです」。
TSURIBITO の事業は観光事業だけにとどまらず、海ごみなど海洋環境の保全や学校・企業向けに魚について知ってもらう「環境/教育事業」、独自の釣りインストラクター資格制度の導入と規格外の水産物を使ったお弁当の開発を行う「釣り振興事業」まで展開しています。
「海洋環境の問題は思ったよりも根深いです。陸では海ごみ、海中では食害魚による藻場の磯焼け(海藻等が著しく減少・消失し、繁茂しなくなる)などが長年の問題となっています。ただ釣りをして楽しかったで終わるのではなく、この豊かな海をどう残していくのかをみんなで向き合っていくことが必要不可欠だと思います。その一心から食害魚をターゲットにした釣り師向け大会を開催したり、子供たちが自分で釣って、捌き、調理して命をいただきながら“食育” を通じて命・海の大切さを知ってもらう出張食育堂も実施しています」。
「彼女は条件の良し悪しに関わらず、一度自身の中に取り込んでから必ず付加価値をつけたより良い案を提示してくれるので、頼もしい存在です」と照れ笑いを浮かべつつも高橋さんに全幅の信頼を寄せる和田一詩さん(29)。同じ協力隊でありTSURIBITO では理事として誰よりも近くで高橋さんを支え、二人三脚で同じ「釣り」×「鳴門」の活性化に向かって心血を注いでいる方です。
「特にファミリー向けイベントやワーケーションなど団体でお客様をお迎えする際に釣りを教えられる人がいなくて毎度歯痒くなります。徳島県は全国各地の釣り大会で上位争いをする常連のようなプロや玄人の釣り師が大勢いるのですが、釣りを教える資格・制度が確立されていない。そのため一般の方と触れ合う機会がなく、釣り師と一般の方との格差が広がってしまう…。なのでインストラクター資格制度にもトライしています。ただ釣りを教えるだけではなく、鳴門の街を案内したり歴史を紹介したりできるインタープリテーション的な活動もできるインストラクターを増やしていけたらなと思いますね」。
そんな二人が次に手掛けるのは、なんと“ご当地プリン”。我々の驚いた表情に口角の上がる高橋さん。
「移住してこれまで、温かく地元の方に迎えていただき、日々たくさんの方と触れ合うなかで新しいご縁が数珠つなぎになり、愛媛県のプリン専門店の方と繋がることができました。だったら徳島県産の素材にこだわったプリンを作ってもいいんじゃないかと思い、『いもうとプリン』と名付けた県内産の牛乳と卵を使用した無添加プリンを作りました」。(販売サイト:https://tsuribito.official.ec/)
「まさかスイーツを販売するとは(笑)。移住当初は想像もしませんでしたが、これもご縁。まずはこのプリンを鳴門市内のイベントスペースに出店したりしながら、徐々に認知度を上げていけたらなと。プリンの売り上げは一部を環境保全活動や出張食育堂の運営に充て、各事業のスケールアップに繋げていきます」。
「TSURIBITO は“ワクワクや心動く瞬間をすべての人に” を念頭に置き、活動しています。釣りを通して楽しさを知ってもらうのはもちろん、お客様それぞれの目に映るリアルタイムの鳴門の海から何か心動かされる瞬間があれば良いなと。そんな瞬間を一回でも多く提供できるように頑張っていきます」。
課題
・業務の一部AI、DX 化(業務時間の短縮)
・人材の不足
・各事業を継続するための財源確保
企業情報
企業名 | 一般社団法人TSURIBITO |
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業種 | サービス、観光、教育 |
事業内容 | 地域観光事業、釣り振興事業、環境・教育事業 |
住所 | 鳴門市撫養町立岩字七枚113 番地3 |
代表者名 | 高橋 真冬 |
設立 | 2022 年 |
HP | https://tsuribito415.com/ |
https://www.facebook. com/tsuribito415 | |
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電話番号 | 070-8366-5442 |
tsuribito415@gmail.com |