イラストを通して大切なメッセージを伝える

 

絵と手描き文字でチラシやパンフレット、商品パッケージ、ロゴ等を制作する「aitsufactory（アイツファクトリー）」代表の林 美華さん（42）。「絵は口ほどにものを言う」というキャッチフレーズのもと、” 伝わるデザイン” をモットーに活躍する鳴門市在住のイラストレーターです。「アイツ……って?」と少々変わった事業名をお聞きすると「あなたの愛（アイ）を（ツ）なぐファクトリーとなれますように」という素敵な想いのこもったネーミング。ちなみに、林さんのブログやSNS にたびたび登場する人型のキャラクターも「アイツ」と言う名で商標登録されています。

 

「絵を描くことが大好きになったルーツは幼少期の頃。もともとは引っ込み思案な子どもだったんです。どうにかして友達をつくろうとイラストを描いていると、だんだんみんなが集まり喜んでくれるように。『言葉でコミニケーションをとるのはちょっと苦手だけど、イラストでなら気持ちを伝えられる』と感じたのがきっかけでした。でもまさかこれが将来の仕事になるとは（笑）」

 

 

「ゆるキャラ」というくくりでは表せない魅力が林さんの作品にはあります。物言わぬキャラクターたちですが、その性格やストーリー、メッセージをまるで見る人に語りかけてくるかのよう。「シンプルでやわらかい手描きイラストや文字がカワイイ」「見る人や消費者にわかりやすく伝えてくれる」と口コミで広がり、現在では個人のみならず数々の企業案件も手がけています。

 

「制作物をみていただいた方や企業様から『このタッチで描いてもらえませんか』とご縁をいただいているので、実は今までノー営業。本当にありがたいことです。漫画を使った広告制作が得意なこともあり『ぼのぼのとしたゆるキャラを描くイラストレーター』というイメージが強いのですが、案件によって色々なタッチを使い分けられるのも私の強みです」

 

「こちらの言いたいことをくみ取ってくれて、上手くまとめて表現してくれる」とクライアントさんからの評価も上々。林さんは企業で8 年間働いていた経験があり、ヒアリング力や提案力、納期等のスケジュール管理についても「消費者目線で安心感がある」と定評があります。

 

現在はデジタル制作が主ですが、ラフ原稿は今でも手描きで行っているそう。イラストマップ（A2 サイズ）のラフ原稿を見せてもらいましたが、ラフの段階で原稿として使えそうなクオリティに驚き。今まで手がけた成果物を拝見すると、名刺からポスターまで仕事の大小を問わず、丁寧な仕事が随所に垣間見えます。

 

 

 

 

「私だけではこなせる仕事量も限られますので、今後は仲間集めやクリエイター育成に力を入れていこうと考えています。現在アシスタントをお願いしている方が一人いますが、とても優秀で助かっているんです。私が今この仕事ができているのも人のご縁があってこそ。今度は私がこのご縁を次世代のクリエイターにつなぐ番なのかな、と」

 

プライベートでは防災イベント等に参加し、自作した「防災紙芝居」で子ども達に地震への備えをイラストで伝える活動を行うなどライフワークでも「伝える力」を大切にしている林さん。クライアントワークだけでなく、先人の残してくれた、伝承伝達していく必要のあるものをイラストや漫画の力で次世代に伝えていきたい、と話します。

 

 

また、現在は経営者の想いや企業の未来像をビジュアル化した「ビジョンイラスト」制作にも力を入れているそう。社内に向けて発信する会社のビジョン戦略から、社外向けへのロゴマーク、Web、チラシ等の販促戦略までをトータルブランディングできる体制づくりを進めており、2022 年中には「aitsu factory」の法人化も検討しているとのことです。

 

　

 

「『漫画・イラストだから伝わる』ということは必ずあると信じています。『アイツ』の理念を大切にし、企業様の販促物の制作だけに限らず、いずれは徳島の魅力や日本人に遺したい大切な心のありようを伝える漫画を作ってみたいですね」