2022.05.30

親子二人三脚で鳴門産れんこんの未来をデザイン

「花れんこん」 代表/齋藤 住子 さん 齋藤 彰 さん

食料品製造 加工事業者の確保社員教育コラボレーション認知度向上生産性向上販路拡大

 

 

全国トップ3の生産量を誇る徳島県のれんこん。特に鳴門でつくられたれんこんは粘土質の土壌で育つため、他のれんこんと比べても味わい深く、肉厚なため歯ごたえもシャキシャキ。一本一本丁寧に手掘りで収穫されるため希少価値が高く、色白で身の詰まった鳴門産れんこんの大きく育つ部位を贈答用としても取り扱われることから、都市部では高級食材として大変人気です。

 

「れんこんの輪切りをみたら、まるでお花のようだったんです」。そう話すのは『鳴門れんこんの聖地』ともいえる鳴門市大津町で9代続くれんこん農家に嫁いできた齋藤住子さん(73)。農家に嫁ぎながらフラワーデザイナーとしてウェディングブーケやイベント会場の装花などを40 年以上も携わっている現役のアーティストです。

2015 年に畑に囲まれた倉庫の一部を改装し、息子の彰さん(45)と「花れんこん」を創業。容器の中に丁寧にレイアウトされた「鳴門ピクルス 花れんこん」はひとつひとつを手作業で詰めており、美しさはもちろん、デザイナーの愛情さえも感じられます。

 

 

 

 

「農家に嫁いできた身ですが、義父母や夫から『せっかく素晴らしい才能があるのだから、畑仕事じゃなくお花の仕事を続けて欲しい』と言ってもらい、現在もデザイナーとして活動させていただいています。でも、いつかれんこんに関わることをしたい、鳴門のれんこんのために役に立ちたいという想いは嫁いでからずっと抱えていたんです」

 

転機が訪れたのは2013 年。地元のれんこん農家女性会から6次産業化商品コンクールに出品することになり、「ぜひ力を貸してほしい」と住子さんに白羽の矢が立ちました。翌年開催されたコンクールにれんこんのピクルスを出品し、見事会長賞を受賞。これがきっかけとなり、れんこんピクルスの商品化を考え始めたそうです。

しかしちょうどこの頃、住子さんはお花の仕事とともに家族の介護もしており、事業を進めたくてもそれに割く時間がありませんでした。母の八方塞がりの状況を見かねた彰さんが県外から帰郷し、事業の運営を手伝うことになりました。

 

 

「企業の海外進出支援の仕事に身を置き世界各地を飛び回っていましたが『灯台もと暗し』とはこのことですね(笑)。母の大変な状況に気付いたのが30 歳後半になっての時でした。帰郷し母をサポートすることにしましたが、当時は家業とはいえれんこんに関しては2 人ともほぼ素人。代々受け継いできた畑は他の農家さんにお貸ししていたので、それなら母の経験(デザイン)と僕の経験(マーケティング)を活かした『他にはない贈答用のれんこん加工品』で鳴門れんこんの魅力を発信しようと決めました」

 

その後、加工品の製造技術を学ぶため専門機関で座学と研究に費やすこと1年半。添加物や加熱時間を極力抑え、鳴門産れんこんが持つ生のシャキシャキ感を保ったままパッキングすることに成功し、酸味をマイルドにすることでお子様でも安心して美味しく食べられるピクルスが誕生しました。

これまで市場にはあまり出回らなかった1節目の小さな「赤ちゃんれんこん」を丸々使うことで、「かわいく」「おいしく」「満足感のある」商品となっており、ANA 国際線のビジネスクラス機内食として採用されたほか、JR 東日本新幹線グランクラスの軽食として提供された実績もあります。

 

 

 

 

「漬けている液には徳島産の阿波和三盆糖を使用するなど、随所にこだわりの詰まった商品。しかしミリ、1/10 グラム単位を手作業で詰めていくため1日に製造できる数量が限られており量産はできません。しかもこのコロナ禍です。お土産や贈答の機会も減っている現状をどうにかしようと、現在新たにチャレンジしているのが冷凍加工食品の製造・開発です」

 

この春、鳴門市に道の駅「くるくるなると」がオープンしたタイミングでリリースしたのは、れんこんが主原料の「れんこんポタージュ」「れんこん餃子」「れんこんハンバーグ」の冷凍加工食品。オープン時から道の駅に並んでおり、「手に取った県内外のお客さんからは好評の声をいただいています」と小さくガッツポーズする彰さん。

 

 

また、れんこんのメッカである鳴門市大津町を高級ガラスで有名なバカラ村のようにしたいと語る二人。

 

「職人技で芸術的なガラスを生み出すバカラ村の技術者と、こだわりを持って生育に取り組むれんこん農家が重なって見え、バカラ村のようにたくさんの方に知ってもらいたいと考えたのがきっかけでした。そのためには、鳴門れんこんの魅力をもっともっと認知してもらう必要があり、その入口になるのがこのピクルスなんです。鳴門ピクルスは職人芸で作られる鳴門れんこんあっての商品。価値あるれんこんの良さを損なうことなく、味付けをし、デザインをしてお客様に目と舌で楽しんでもらう。バカラグラスのように工芸品・美術品として取り扱ってもらえるように誠心誠意商品を作っていくことが鳴門れんこん全体の魅力の底上げになると信じ、これからも努力していきます」

 

 

課題

・関西圏、関東首都圏にあるセレクトショップ等への販路拡大
・惣菜や冷凍食品製造等の外部生産を小ロットで取り扱える事業者の開拓
・小ロットで素材のカット加工してくれる事業者の開拓
・HACCP 対応の設備の導入
・新たに雇用した場合の社員教育

企業情報

企業名 花れんこん
業種 食料品製造
事業内容 れんこん加工食品製造
住所 鳴門市大津町段関字東ノ越106
代表者名 代表 齋藤 住子
設立 平成27 年11 月
HP http://www.hana-renkon.com
電話番号 088-624-8358
E-mail info@hana-renkon.com