2022.12.21

鳴門わかめの伝統を守りつつ、世界へと羽ばたかせる

有限会社 うずしお食品 代表取締役社長 後藤 弘樹 さん/ 広報 渡部 智之 さん(シーコックトモエ株式会社・代表取締役)

食料品製造卸売・小売 認知度向上販路拡大

三陸に次ぐわかめの大産地・鳴門市。渦潮の激流がある鳴門海峡で育ったわかめは肉厚でコシがある、と全国でも人気の海産物です。現在では製法や貯蔵の技術が確立され、1年を通して美味しい鳴門わかめが楽しめることから贈答品としても大変喜ばれている代物。
また、わかめは「海の野菜」といわれるほどビタミンやカリウム、カルシウムなどミネラルが豊富。世界的な健康志向も相まって、近年では海外からの注目度も増しています。


「弊社では今年2 月、フランス・ブルターニュ地方で海藻養殖を手がける企業『アルゴレスコ』と技術支援の契約を結びました。フランスのわかめも肉厚で生育環境も良いのですが、加工技術が日本に比べるとまだまだなんです。『アルゴレスコ』とは以前より企業視察の受け入れや現地訪問等で友好的な関係を築いてきましたが、今回の契約を機に今後は弊社がわかめのボイル加工や技術を提供することで互いに品質向上を目指し、欧州や日本向けの商品開発を共に取り組んでいきたいと考えています」

そう話してくれたのは、鳴門市里浦町でわかめの加工・販売業を営む「有限会社うずしお食品」代表取締役社長の後藤弘樹さん(50)。今回の契約は自らもフランスへ幾度も足を運び、現地の状況を見極めてのものでした。『わかめひとすじ!』という後藤さんのチャレンジは決して今回の海外企業との提携が目新しいものではなく、以前から多岐にわたります。


2010 年には鳴門わかめの品質改良を目的に競合産地である三陸を視察し、三陸わかめの株を分けてもらうことに成功しました。しかし、その翌年に東日本大震災が発生。甚大なダメージを受けた三陸のわかめ産業を手助けしようと、後藤さんは鳴門で培養していた三陸わかめの種を現地に届けました。これを機に産地間での交流が今まで以上に深まり、技術面でも切磋琢磨できる関係になったといいます。

「自然環境の変化、地球温暖化の影響等もあり、全国的に年々わかめの収穫量が落ちているのが現状。産地や業者間といった小さな場所にだけ目を向けている場合ではありません。産業の存続を地球規模で考え、僕が見ているのは皆さんに美味しくて安全に提供できるわかめの未来だけ」

また、40 年以上鳴門わかめの一次加工(ボイル)から携わり、その加工量はもちろんのこと、ノウハウや技術力も県内トップクラスの同社。
2018 年には以前より研究開発を重ねてきた湯通し冷凍わかめ「潮里(しおり)わかめ」が平成29 年度優良ふるさと中央コンクール(新技術開発部門)で農林水産省大臣賞を受賞。
鳴門わかめは獲れたてを湯通しした刺身で食べるのが1 番美味しいのですが、その感動を独自の冷凍技術によって全国の食卓で味わえるようになりました。これも鳴門わかめの長い歴史の中で難しいと言われていた冷凍へのチャレンジでした。


過去をさかのぼると、鳴門わかめの人気ゆえ、他の業者による「産地偽装」の問題が発覚し一時ブランド力が低下したこともあります。同社では2015 年に適正な食品表示とトレーサビリティ(加工履歴)が認められた『徳島県鳴門わかめ認証制度』第一号認定取得を皮切りに、今年の4 月には食品安全マネジメントシステム国際規格「FSSC22000」を取得。これは国際的なルールに沿って安全な食べ物を製造するための仕組み作りの認証です。


「日本のみならず、世界に安心・安全な鳴門わかめを届けるのが創業以来一貫してきた弊社の責務。国際規格であるFSSC22000 取得を機に、他社との差別化によるブランディング力の強化や海外取引拡大に向け、今後も精進していきたいと考えています。鳴門わかめが世界各地、各国のアイデアを取り入れた料理に使われるって考えただけでもワクワクしません(笑)?」

後藤さんの義弟にあたる渡部智之さん(37)は同社の従業員(広報)でありながら、四国の食材を販売する通信販売サイトを運営する「シーコックトモエ株式会社」を起ち上げています。同サイトでは冷凍わかめの「潮里わかめ」や天然物の塩蔵わかめが購入できるほか、SDGs を念頭にうずしお食品と共同開発した「鳴門わかめのからだにやさしい塩」を販売中。サイトを通じ、「美味しく食べられるのに商品にならない“わかめの現状” を変え、フードロスをなくしたい」と渡部さんは言います。


「わかめ単体だけでなく、様々な業種の方とコラボしてこれまでとは違った形で商品化し、わかめが持っている可能性を広げるのがシーコックトモエの役割です。この『鳴門わかめのからだにやさしい塩』はパリ一流レストランのシェフから“わかめ本来の塩分を生かし、そのものを塩にしてみては?” と提案していただき商品化したもの。わかめのみを原材料としているのでミネラルや食物繊維などの栄養素はそのままに、一般的な塩の食塩相当量の約半分に減塩できるんです。また、原料に使用しているわかめは、鳴門産塩蔵わかめの製造中に発生する規格外品で、本来廃棄されてしまう部分を活用したもの。日々の食塩の代わりに使っていただける、環境にもからだにも優しいSDGs 時代に適した調味料なんです」

後藤さんは現在、フランスとの連携で新たな海藻の食べ方を提案をし、2024 年7 月に開催される「パリオリンピック」で使用される食材の提供を目指しています。

「鳴門わかめという食材、そして伝統産業を『うずしお食品』というフィルターを通し世界に通じるようなイノベーションを起こしたいですね。同時に各地域との連携で環境に対する持続可能な循環型の事業を今後も進めていきたいと思います」

 

 

 

課題

・海外を含め、自社事業の発信拡大
・商品販売として販売チャネルの拡充
・生産者の高齢化にともなう雇用の安定

企業情報

企業名 有限会社 うずしお食品
業種 鳴門わかめの生産加工・加工販売
住所 鳴門市里浦町里浦字花面350-32
代表者名 代表取締役社長 後藤 弘樹
設立 昭和52年10月
HP https://uzushioshokuhin.co.jp
Twitter https://mobile.twitter.com/wakamenaruto
Instagram https://www .instagram.com/seacook.tomoe/
電話番号 088-685-3301
E-mail uzushioshokuhin@gmail.com