2025.05.07

自社栽培の材料だけで作る 海外からの支持も集めるペッパーソース

川添フルーツ オーナー / 川添 雄大さん

製造 自社製品のさらなる発信認知度向上

 

鳴門市大津町大代。道の細さとは裏腹に辺りは人気のいちご狩りハウスやパン屋に加えて、今も多くの人が利用する旧撫養街道に繋がることもあり、日々たくさんの車が往来している街です。そんな住宅街の一角で耳を澄ますと微かにレゲエやヒップホップのメロディが流れてきます。音のする方へ歩いていくと見えてくる一軒のお店。『川添フルーツ』です。手がけているフルーツシロップはポップアップを含めると約二十種。素材本来の甘みと豊かな香りを楽しめ、王道の炭酸割りを皮切りにパンケーキやアイス、ヨーグルトと多様な楽しみ方ができる純国産クラフトシロップです。

 

 

そんなフルーツシロップと肩を並べる看板商品が「BAKASCO(以下=バカスコ)」。県産の柚子果汁をふんだんに使用したペッパーソースで、2024年春には新フレーバーとなる「BAKASCO(すだち)」が発売されました。「味噌汁に入れる方もいるんですよ」そう話してくれたのはオーナーの川添雄大さん。元・料理人という肩書を持ち、2005年に川添フルーツを開業。以降、フルーツシロップ、スパイスシロップ、ペッパーソースなどの製造・販売から音楽、イベント関連にも力を入れています。

 

 

「バカスコを語る上で欠かせないのが『株式会社 阪東食品(以下=阪東さん)』の存在。阪東さんとはお互いの商品を作ったりとか昔から繋がりがありまして。これだけ長く一緒にやってるんだし、何かブランドを作りたいと話していた時に、ちょうどフランスからペッパーソースを作ってくれないかと問い合わせがあったんです。いやぁ、運命だと思いました。ようやく阪東さんとのブランドが作れると喜んだのも束の間、バカスコの完成までに2年半ほど開発期間を費やしました。柚子はとてもデリケートな食材です。陽の光で色も変わるし、香りも飛びやすい。阪東さんが丹精込めて栽培した柚子をできるだけ摘果直後の新鮮な状態を味わえる商品にしようと、あれこれトライしていたらそれだけの期間が経っていました」。

 

 

 

鍋、刺身、餃子、焼肉、ピザ、パスタ…一滴垂らせば、ひとたび爽やかな柚子の香りと柿酢のまろやかな酸味が鼻腔を駆け抜け、後から来るパンチの効いた辛味が料理の旨みを引き立たせるBAKASCO。主な出荷先が欧州や中東をはじめとする海外ということもあり、パッケージも海外を意識したデザインになっています。世界的にも長く柚子ブームが続く中、100%ナチュラルな食材を使用したバカスコは稀有な商品。味はもちろん素材へのこだわりも相まって海外からの評価も高いといいます。

 

 

 

「よくバカスコのことを100%AWAペッパーソースと紹介するんですけど、この100%というのは自社生産した材料のみで作られたという意味です。例えばどれだけ無添加のものを使っていても仕入れた調味料を入れた時点で僕は100%とは呼べないと思っていて。その点でバカスコは柚子、柿酢、唐辛子など全ての材料を自社で栽培しています。さすがに瓶やラベルの側までは違いますが」。

 

栽培から加工、販売まで一貫して行ういわゆる6次産業化に取り組む川添フルーツ。数多ある商品の中でも特別バカスコは、専門のスタッフが在籍するほど作業工程が多いといいます。

 

 

「柚子皮は柚子味噌みたいになるくらいまで醗酵させて、柿酢は1年半かけて酢酸醗酵。そこに柚子果汁を合わせていきます。ものすごく簡単に説明すると作業手順はこんな具合です。そこから唐辛子をカットして瓶に入れたり、充填、ラベル貼りなどたくさんの工程を経てようやく完成します。仮にこれを一人でやると考えたら身の毛立ちます…。充填作業は大体月2~3回、1回で3000本くらい。黙々とやっても丸一日かかりますね。最後の方は気が狂いそうになりますよ(笑)」。

 

 

 

その手間暇や自社栽培の都合上、大量生産は難しいというバカスコ。だからこそ卸し先はバイヤーを通さずに川添さん自らが担当者と話し合い、ここならと決めたところにしか卸さないようにしています。

 

「自社栽培の材料だけで作り、細部までこだわりまくった我が子のような商品なので、ちょっと上からに聞こえるかもしれませんが、卸し先は慎重に見極めています。弊社のこだわりはもちろん、保管方法などの説明をできる方がいらっしゃるかも重要なポイントです。バカスコは無添加で製造しているので市販品に比べてその辺りがシビアですから」。

 

今後の展望を教えてください。取材スタッフの問いかけに「すぐには思いつきません」と笑いながら答えてくれた川添さん。一方で、「恩返し」したい気持ちは常に秘めていると胸を張ります。

 

 

「22歳で川添フルーツを開業して、右も左もわからなかった僕に手を差し伸べ、温かく見守ってくれた鳴門市民の皆さんがいたから今の僕がいます。弊社の商品を一人でも多くの方に手に取ってもらうことで、鳴門を知ってもらうきっかけになれたらと思いますし、僕にはそのくらいしかできない。これからも鳴門への恩返しの気持ちを胸に邁進していきます」。

課題

自社商品のさらなる発信

企業情報

企業名 川添フルーツ
業種 製造業
事業内容 フルーツシロップ、 ペッパーソースなどの製造・販売、 イベント企画など
住所 大津町大代760
代表者名 川添 雄大
設立 2005年
HP https://kawazoefruit.official.ec
電話番号 088-685-0293
E-mail kawazoefruit@gmail.com